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【読売新聞掲載】水をためられるバッグ開発の裏側

「水をためられるバッグ」と聞いて、少し不思議に感じる方も多いかもしれません。
実はこの機能、思いつきではなく、何度もの試作と失敗を重ねる中で生まれました。

読売新聞でも紹介された“izatoki”の防水バッグ。
なぜ「水をためる」という発想にたどり着いたのか。

本記事では、その背景と、【水をためられる構造】を形にするまでの
開発の裏側を、詳しくお伝えします。

1)なぜ水をためる発想が生まれたのか

1-1 なぜ水をためる発想が生まれたのか

「水をためられるバッグ」という発想は、特別なアイデアから生まれたわけではありません。
2018年の台風21号を経験したことで、日常の中に“備え”を取り入れる必要性を強く感じるようになりました。

しかし、いざ防災用品を揃えようとしても、日常で使わないものは続かないという現実があります。
そこで考えたのが、「普段使っているものが、そのまま非常時にも役立つ」という形でした。

もともと登山やアウトドア、そして服飾の経験の中で、
わたしにできることは「水に関わる機能を持ったものをつくること」だと感じていました。

その延長として生まれたのが、【水をためられる】という機能です。
防災と日常をつなぐ要素として、自然に形になっていきました。

1-2 防災と日常をつなぐという視点

多くの防災グッズは「いざという時のため」に用意されますが、実際には使われないまま保管されることがほとんどです。
その理由はシンプルで、日常生活と切り離されているからです。

izatokiのバッグは、この課題を解決するために「日常で使えること」を最優先に考えました。
例えば、濡れた服やタオルをそのまま入れられるバッグとして使いながら、必要なときには水をためることができる。

この【延長線上の機能】があることで、特別な準備をしなくても自然と備えにつながります。
防災を特別なものにしないこと。
それが、このバッグの根本にある考え方です。

2)試作と失敗の繰り返し

2-1 最初の試作で起きた問題

最初の試作では、「防水生地を使えば水がたまるだろう」というシンプルな発想からスタートしました。
しかし実際に試してみると、思ったようにはいきませんでした。

生地自体は防水でも、縫い目からじわじわと水が漏れてしまうのです。
また、形状によっては水の重みでバランスが崩れ、持ちにくくなるという問題もありました。

この段階で気づいたのは、「防水」と「貯水」はまったく別の設計が必要だということです。
ここから、単なる防水バッグではなく、【水をためるための構造】を考える必要が出てきました。

2-2 「防水=水がたまる」ではなかった

一般的に「防水」と聞くと、水を通さないイメージがありますが、
それはあくまで外からの水を防ぐ性能です。

一方で、水を【中にためる】ためには、さらに高い密閉性と構造の工夫が必要になります。
試作を重ねる中で、縫製方法やパーツの組み合わせによって、
水の漏れ方が大きく変わることが分かりました。

また、使用中の動きや負荷も想定する必要がありました。
こうした検証を繰り返すことで、「防水バッグ」から一歩進んだ、
【用途を持ったバッグ】へと進化していきました。

3)構造と素材の工夫

3-1 水漏れを防ぐための構造の工夫

水漏れを防ぐために最も重要だったのは、縫い目の処理と構造の見直しです。
単純な縫い合わせではどうしても隙間ができてしまうため、水を包み込むような構造にすることで、
水の通り道を減らす工夫を取り入れました。

また、均等にバランスよくループを配置する設計にすることで、荷重が分散され、
水を入れた状態でも安定して保持できるようにしています。

こうした細かな調整を繰り返すことで、実用的に水をためられる構造が少しずつ形になっていきました。
見た目にはシンプルでも、その裏には多くの試行錯誤が詰まっています。

3-2 縫製と素材の見直し

素材選びも重要なポイントでした。
防水性だけでなく、柔らかさや扱いやすさも考慮する必要があります。

硬すぎると日常使いがしにくく、柔らかすぎると水をためたときの安定感が損なわれます。

そのため、バランスの取れたナイロン素材を採用し、さらに縫製方法も見直しました。
パタンナーとしての経験を活かし、強度と機能性を両立する設計を追求しています。

こうして、日常使いと防災機能の両方に対応できるバッグが、少しずつ形になっていきました。

4)使いやすさとの両立

4-1 使いやすさとのバランス

機能性を高めるだけでは、日常で使われるバッグにはなりません。
そこで重視したのが「使いやすさ」です。

濡れたものを気軽に入れられること、開け閉めがしやすいこと、持ち運びが負担にならないこと。
これらを満たすために、シンプルな巾着型を採用しました。

また、パラコードを使用することで、軽さと強度を両立しています。
防災という目的を持ちながらも、普段使いのバッグとして自然に使えること。

それが、このバッグの大きな特徴です。

4-2 軽さ・収納性との両立

バッグは「使わないときに邪魔にならない」ことも重要です。
そのため、コンパクトに折りたためる設計にしています。

使うときは大きく広がり、使わないときは小さく収納できる。
この可変性が、日常使いのしやすさにつながっています。

また、軽量であることも意識しているため、持ち運びの負担が少なく、
常にバッグに入れておくことができます。

こうした設計により、「いざという時に手元にある状態」を自然に作ることができるのです。

5)完成したバッグの価値

5-1 実際の使用シーンでの検証

開発段階だけでなく、実際の使用シーンでの検証も重ねました。
外遊びやプール、キャンプなどで使う中で、濡れたものをそのまま入れられる便利さを実感しました。

また、水をためて簡易的な洗い場として使うことも可能です。
こうした実用的なシーンでの使い勝手を確認しながら改良を続けることで、
より完成度の高いバッグへと仕上がっていきました。

実際に使うことで見えてくる課題を一つずつ解決していった結果が、現在の形です。

5-2 “日常で使える防災”という完成形

最終的に目指したのは、「特別な防災バッグ」ではなく、「普段使いできる防水バッグ」です。
日常の中で自然に使いながら、いざという時にも役立つ。

この“フェーズフリー”の考え方が、izatokiのバッグの本質です。
防災を特別なものにせず、日常に溶け込ませることで、無理なく備えを続けることができます。

「水をためられる」という機能は、その象徴ともいえるポイントです。
このバッグが、日常といざという時をつなぐ存在になればうれしいです。

読売新聞掲載|izatoki防水バッグの記事はこちら

実際に掲載された内容と、開発の背景や想いもご覧いただけます。

どのように紹介されたのか、ぜひご覧ください